わざわざアップするほどでもないもの収納。貧乏性なものでリサイクル。
今あるものは、拍手にこっそりとおいてあったものです。
(近土?)
人を斬ったあとは眠れない。
そんな自分を感じて、ああ、まだかろうじて人間でいるんだなと思う。
斬った後でも、撃った後でもぐっすりと眠れるようになれば、俺は鬼になれるのかもしれない。
恐怖を感じなければ、痛みを感じなければ。
死ぬまで――いや、死んでも戦えるのかもしれない。
「よしよし、今日も生きてたな」
血塗れの近藤さんが俺を見る。まあ、自分も似たようなことになっているのだろうが。
総悟みたく淡い色味の髪だと、頭から血を浴びるととても目立つ。
だけど、俺とか近藤さんの髪は黒いから、俺たちは返り血を気にしないで人を斬っていく。
剣の腕と言うものもあるのかもしれないが、少なくとも俺と近藤さんは、
大きな戦いの後なんかじゃたいてい頭から爪先まで真紅に染まっていることが多い。
血でごわついた俺の髪を乱暴にかき回して、近藤さんはじっとこちらを見た。
そして、「よし」とだけ言って俺を解放する。
いつものことだ。
いつも――戦いの後近藤さんは俺の目をじっと見る。何かを確認するかのように。
「・・・今日も生きてたな」
そう笑う。血塗れで。傷だらけで。
返り血だか自分のものだかわからないものに塗れて。
そう言ってくれるから、俺は答えられる。
「ああ、生きてる」
でも、本当は。
まだ、俺が人間でいるのかどうか、確認しているのかもしれない。
きっと。
アンタは鬼になった俺を責めはしないだろう。それどころかすまながって謝罪すらしかねない。
涙すら流して、俺を元に戻そうとしてくれるだろう。
でも、でもな。俺は鬼になったらそれでいい。
そうしたら何も考えずに人が斬れる。悪夢にうなされることもなく。
そして、いつか鬼が必要なくなるときが来たら、潔くあんたの眼の前から姿を消すから。
だからそれまでは、鬼になった俺を見ない振りしてくれよ。
それだけで俺は、生きていけるから。